** 2005/03/30 – Bratislava [一服] **
ロンドン、アムステルダム、ベルリン、プラハ。ヨーロッパを代表する大都市を立て続けに回って、それにイースターのものすごい人出にまかれて、くたびれ果てた身体にブラチスラヴァはちょうどいい。中国を旅したあとにモンゴルへたどり着いた時に感じた、ほっとした気分を思い出す。 スロバキアの首都のこの街、中心にこじんまりとした静かで美しい旧市街があり、ヨーロッパらしい街だ。 トラムを乗り間違えてしまい、でも終点まで行ってみた。30分で郊外へ出た。社会主義時代に建てられた高層アパートが立ち並び、トローリーバスが走っている。街角にはキオスクが、それに野菜を並べて売っている人が目につく。街の南には大河ドナウが流れている。昨日から空気が変わり、大陸の乾いた冷たい風が気持ちいい。なんだか急にモンゴルが懐かしく感じられる。
旧市街の西側、街を見下ろす丘のブラチスラヴァ城に登る。ドナウ河は大きくゆったりと東へと流れている。 気持ちのいい天気だ。こんな日は稼ぎ時なんだけれど城壁に登って素晴らしい眺めの中、日記を書いていたら、急に眠くなってきた。
足にしびれを感じて、目が醒めた。どれくらい眠っていたのか、幅1mの城壁の上、ちょっと嫌な夢を見て汗をかいていた。
喉が渇いたので街へ下りて、市場の上のレストランでBUDVARとTOPVARというビールをゆっくり飲んで、宿に帰る。 西陽の射す部屋でベッドに横になっていると、知らないうちに眠ってしまった。
隣の部屋のシャワーの音で目が覚めた。窓の外はひっそりとひとけない。目を凝らすと星が出ていた。 オリオンがもうすぐ沈もうとしている、ということは、今は3月だから、10時過ぎかな、いや、サマータイムなんだっけ、ということは、、、もう11時過ぎかあ、、。 そんなことを思いながら、また眠る。
** 2005/04/01 – Bratislava → Budapest [車窓から vol.2] **
朝九時半、ホステルを出発。少し肌寒いけどいい天気だ。 列車の時間まで少しあるので、旧市街でちょっと弾いてから行くことにする。 多分初めて目にする楽器なんだろう、みんな興味津々で集まってくる。 3、40分弾いて、集まったお金を銀行でハンガリーの通貨に両替して駅へ向かい、12時28分発の急行、ブダペスト行きに乗り込む。 客車は3人ずつ向かいあって座るコンパートメントになっていて、結構混んでいる。何語かわからない言語で書かれたブダペストのガイドブックを持つ、学生風の男2人、多分スロバキア人のおばさん、20代半ばくらいの女性、そして国籍年齢不明のおじさんと一緒のコンパートメントに入った。 列車はドナウ河が作った広大な平野を、今までのどの国の列車よりも快調に走り出す。ジャガイモか小麦の畑になるのか、とにかく広々とした畑が広がっている。 学生風の男は楽譜を取り出し、リズムを取りながら頭の中で音楽を奏でている。日記を書いていると、陽射しと心地良い振動とで、眠くなってきた。 前に座っている女性もうたた寝をしている。どうやらみんな同じらしい。 スロバキア、続いてすぐにハンガリーの警察? がやってきて、パスポートを手際よくチェックした。国境を通過したようだ。 気がつくと、線路はドナウ河のすぐ北側に沿って走っている。雪解け水で増水していて、岸辺の林は水没している。だんだん山が迫ってきて、谷には葡萄畑、小さな可愛い教会のある集落が、山の頂上には古い立派な城が見える。 久しぶりに変化の富んだ景色に出会えて興奮してきた。景色をもっと見ようと窓際の席を求めてブッフェに入り、ビールとオムレツを食べながら景色を堪能、と思ったのだけど、しばらくするとまたいつもの単調な平原に。 料理とビールはとても美味しく、支払いが、ユーロ、チェココルナ、ハンガリーフォリントの三つ通貨で出来るのも、国際列車ならではで面白い。満足して150チェココルナを払っている時、ブダペスト駅に列車は停まった。2時間半、あっと言う間の列車の旅はおしまい。
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