モンゴルツアー2016 ツアーレポート その11
8月6日(土) ツアー7日目
ホスタイ国立公園からUBへ
夜明け前に目が覚める。まだ薄暗い中外に出ると霧がかかっていて山が霞んでいる。昨夜約束したとおり、6時過ぎにマグナィとバットハーンを起こして山登りへ出発。けっこう急な斜面を2人はまるで平地を歩くかのように息も切らさずに軽やかに進んでいく。息を整えながら2人について登って行くと、10分くらいでキャンプ場から見えている南側の尾根の頂上へ着いた。下からは見えなかったけど、そこからさらに高い2つのピークが連なっている。「あそこまで行ける?」とマグナィが聞いてきた。登ってきた道よりもこの先は少しなだらかだ。「もちろん、行こう。」と答えて、その先は3人で話をしながら登る。尾根伝いに歩いていると強い風に時々吹き飛ばされそうなくらいだ。鹿が3頭、尾根を越えて東へ走り去っていくのが見えた。頂上についてしばらく太陽の出るのを待ったけど、雲がかかって残念ながら見えなかった。日本では初日の出を見に行ったりすることなどを話したけれど、モンゴル人は特にそんなことはしないみたいだ。草原に暮らしていたら日常的に日の出を拝めるから当たり前か。
帰りは来た道を尾根伝いに戻り、さらに南へぬける峠まで行ってから下山することに。峠の岩の隙間にシャーマンの太鼓が置いてあるらしく、それをぜひ鳴らしてみたいのだ。モンゴルはチベット仏教を信仰する人が多いけど、地方によってはシャーマニズムも生活の中にまだ根ざしている。病気をシャーマンやチベット仏教のお坊さんに治してもらうなんて話もよく聞く。峠に着くと、大きな岩の隙間にその太鼓はあった。五角形の太鼓で、後ろに緑色のハタッガ(祈りや願い事、宗教的な儀式にも使う布)が縛ってある。湿気の為、皮の張りはかなりゆるく、叩くとダーンダーンと低く響く。きっと声を張り上げたりはしないで、しわがれた声で語るように唄い上げながらこの太鼓をならすのかなあ、などと想像しながらしばらく叩く。
太鼓を叩きながらホーミー。写真を撮ってとマグナィに頼んだら、動画も撮ってくれた。
だんだん霧も晴れてきて、反対側の尾根にはには朝日も差している。マグナィがキャンプ場まで競争しよう、というので、急な坂道を3人で駆け下りる。キャンプ場がみるみる近づいてくる。スピードがつきすぎて止まることもできないので、そのまま下まで一気に駆け下った。
南側の尾根から見るモイルトキャンプ場。この後、ここから一気に駆け下った。
モイルトキャンプ場では天気がいいとレストランの建物の外にテーブルを出して草原で朝食を食べたりするんだけど、今朝は風が強く少し寒いのでレストランの中で食べる。草原で食べる最後の食事が終わって、帰り支度、ビールの支払いを済ませてみんなで記念撮影。この景色を見るのもこれが最後かと思うとさみしい気分になる。名残惜しいけど、弁当と荷物を車に積み込んでキャンプ場を出発。タルバガやゾルム(タルバガより一回り小さいネズミ)もこれで見納めだ。
早朝の登山から戻り、朝食を済ませるころにはすっかりいい天気に。この景色とももうすぐお別れ。
みんなで記念撮影。モイルトキャンプ場の目印、尾根に積み上がる不思議な岩が後ろの尾根に写ってる。
今日はUBへ帰る途中でちょうどナーダムが開催されているので、帰り道にナーダムを見てからUBへ。このナーダム観戦、当初の予定には入っていない、まったくの偶然。今回の旅は本当に運がいい。会場が近づくとたくさんの車が列をつくっている。駐車場に車を停めてメイン会場へ向かう。途中の草原も人、家畜、色とりどりのテントで賑やかに埋め尽くされて、移動式の遊具なんかも来ていて自然とお祭り気分が盛り上がる。このナーダム、ダンシックナーダムといって仏教関係のナーダムらしく、メイン会場には大きな仏画が掲げられ、たくさんのラマが歩いている。到着後、1時間ほどの間、ラマたちの唱えるお経をBGMに、モンゴル相撲の力士たちが会場入りしてテントの中で着替えるのを見ながら、相撲が始まるのを待つ。モンゴル相撲、戦いそのものよりも僕はバックで流れるオルティンドーや力士の紹介のアナウンス(モンゴル流の呼び出しか?)といった耳から聞こえてくる音が大好きだ。
カラフルな仏画。青空と白い雲、草原の緑に不思議とよく似合う。
しばらく相撲を観戦した後、ナーダム名物?のホーショールを歩きながら売っているおじさんから買って車へ戻り、馬乳酒を売っている食堂を見つけてそこで昼食を食べることに。弁当、買ってきたホーショールを持って店に入り馬乳酒とスーテーツァイを注文。このお店の馬乳酒、モンゴル一美味しいと言われるボルガン県の馬乳酒で、適度に酸っぱくってとても美味しかった。
再び車に乗り込み、東へ。やがて車がどんどん増えて草原が住宅やゲルで埋め尽くされていく。車のクラクションが騒々しい。UBに戻ってきた。モンゴルの旅ももうすぐ終わる。